インタビュー

適正価格で小規模M&Aを支援。通信業界から独立したアドバイザーが語る伴走支援|M&Aつなぐパートナーズ

適正価格で小規模M&Aを支援。通信業界から独立したアドバイザーが語る伴走支援|M&Aつなぐパートナーズ

事業承継の選択肢としてM&Aが広く認知されるようになった現代。しかし、その恩恵を享受できるのは一定の規模を持つ企業に限られているのが実情だ。高額な仲介手数料が障壁となり、M&Aによる事業存続を諦め、廃業を選択せざるを得ない中小企業は少なくない。

こうした業界の構造的な課題に向き合い、適正な報酬体系で小規模M&Aを支援しているのが「M&Aつなぐパートナーズ」代表の吾郷 泰佑氏である。

京都府を拠点に活動する吾郷氏は、大手通信系企業での営業経験を経て、働きながら中小企業診断士を取得。2019年に独立し、これまでに1000件以上の事業承継・M&A相談に対応してきた実績を持つ。

「社長が納得できる相手を、納得できるプロセスで見つけることが私の仕事」と語る吾郷氏に、独立の背景や適正価格へのこだわり、そして事業承継支援にかける想いについて、お話を伺った。

吾郷様のこれまでのご経歴についてお聞かせください。

私は京都府の出身で、大学を卒業した後は大手通信系企業に入社し、営業職として勤務していました。通信業界での営業活動を通じて、多くの企業経営者様とお会いし、多様なビジネスモデルや現場の課題に触れる機会を得ました。

日々の業務の中で、企業が抱える経営課題に対して、より専門的かつ体系的なアプローチで支援できるようになりたいと考えるようになり、働きながら中小企業診断士の資格取得を目指しました。仕事と勉強の両立は容易ではありませんでしたが、4年の歳月をかけて無事に資格を取得することができました。

その後、2019年に独立開業され、M&A支援を開始されました。事業承継やM&Aの分野に関心を持たれた経緯を教えてください。

中小企業診断士として独立した後、公的支援機関を通じて、事業承継やM&Aに関する相談業務に携わる機会を得ました。これまでに1000件以上の相談に向き合ってきましたが、経営者様から最初に聞くのは「従業員の雇用を守ってほしい」「長年お世話になった得意先を引き継いでほしい」という切実な言葉です。

後継者が見つからない、年齢的にそろそろ決断しなければならない。そうした状況を、社長は淡々と、まるで他人事のように話されることがあります。しかし、その言葉の裏には、誰にも相談できないまま一人で何年も抱えてきた重責が存在しています。家族にも、従業員にも、顧問の税理士にもなかなか言い出せない。「会社を売る」という決断が持つ意味を、誰よりも理解しているのは社長自身だからです。そうした経営者の孤独に寄り添い、会社の未来をつなぐ手助けをしたいという思いが、現在の活動の原点となっています。

独立してM&A支援を行う上で、業界に対してどのような問題意識を持たれていたのでしょうか。

実務を重ねる中で、M&A業界全体が抱える構造的な課題に直面しました。それは仲介手数料の設定水準です。

取引金額が数十億円にのぼるような案件であれば、数千万円という手数料もビジネスとして成立します。しかし、日本の企業の大半を占めるのは、そこまでの規模を持たない中小企業です。財務的に支払いが不可能なケースも多々あるのが実情です。

手数料がネックとなり、M&Aを諦めてしまう企業も多いということですね。

おっしゃる通りです。「M&Aで会社を存続させたい、従業員を守りたい」と願っていても、手数料が障壁となり、仲介会社に依頼できないと最初から諦めてしまう経営者が多くいらっしゃいます。私はその現状を変えたいと考えました。小規模な企業であっても、適正な価格で良質なM&Aの支援を受けられる環境を作ることが必要です。

御社では、具体的にどのような報酬体系で中小企業の支援を行っているのでしょうか。

私たちは、着手金や中間報酬を一切いただかない「完全成功報酬制」を採用しており、成功報酬は成約価額の5%、最低報酬は200万円(税別)に設定しています。私たちが支援のメインとしているのは、従業員数名の小規模な事業者様です。この規模の企業様であっても、200万円という手数料であれば、会社の未来を託すための現実的な費用として検討していただけます。

質の高いサポートを提供し、各種資料の作成から複雑な条件交渉、そして成約まで一人で責任を持って伴走するためには、200万円という水準が、小規模M&Aにおいて手厚い支援と適正価格のバランスが取れるラインだと考えています。また、途中でM&Aをやめられた場合でも費用は一切かからない仕組みにしており、経営者様が安心してご相談できる環境を整えています。

吾郷様は「事業承継士」の資格も保有されています。M&Aだけでなく、事業承継全般の資格を取得された理由は何でしょうか。

M&Aは企業を存続させるための手段ですが、あくまで事業承継というプロセスにおける一つの選択肢にすぎません。

経営者様からご相談を受けた際、常にM&Aが最適解であるとは限りません。ご子息などの親族へ引き継ぐ「親族内承継」や、社内の役員や従業員に引き継ぐ「従業員承継」など、他の選択肢も含めて全体を俯瞰し、中立的な視点でアドバイスできる専門家でありたいと考えました。M&Aありきの提案をするのではなく、企業にとって正しい道を示すために、事業承継に関する体系的な知識を深める目的で事業承継士の資格を取得しました。

吾郷様は「成約を急がない」というスタンスを大切にされていると伺いました。支援において心がけていることは何でしょうか。

社長が納得できる相手を、納得できるプロセスで見つけることが、私の仕事だと考えています。そのため、最初のご相談から成約まで担当者が変わることはありません。最初から最後まで、私が一人で伴走します。

「社長の最後の大仕事に、最後まで伴走する」。それが、私のこの仕事への向き合い方です。効率だけを求めて手続きを進めるのではなく、経営者様の想いや不安に耳を傾け、一つひとつの課題を共に解決していくことを重視しています。

最後に、吾郷様ご自身の原動力や、今後のビジョンについてお聞かせください。

私生活では、2人の娘を育てるシングルファーザーとして日々奮闘しています。子育てを通じて感じるのは、人と人との繋がりの大切さや、次世代へ責任を持ってバトンを渡していくことの重要性です。これは事業承継の支援にも通じる部分があります。

私の根底にある想いは「手数料が理由で、M&Aという選択肢を諦めてしまう企業をなくしたい」ということです。売上規模が比較的小さな企業であっても、そこには長年培ってきた技術があり、生活を営む従業員がいます。適正な報酬体系と丁寧なサポートを通じて、一社でも多くの中小企業を次の世代へとつなぎ、地域社会に貢献していきたいと考えています。

吾郷 泰佑のプロフィール写真
プロフィール

吾郷 泰佑

M&Aつなぐパートナーズ 代表

1982年生まれ、京都府出身。大学卒業後、大手通信系企業にて営業に従事。日々の業務の傍ら、4年の歳月をかけて中小企業診断士を取得する。2019年に独立開業し、本格的にM&A支援を開始。これまでに1000件以上の事業承継・M&Aの相談に向き合い、小規模M&A、事業承継計画の策定支援、M&A補助金申請支援などを幅広く手掛ける。「社長の最後の大仕事に、最後まで伴走する」を信条とし、適正な報酬体系とダイレクトソーシングを活用したマッチングで、中小企業の事業存続と雇用維持に尽力している。

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