インタビュー

意欲ある個人が会社を引き受ける「サーチファンド」で企業を次世代に残す|Icon Capital

意欲ある個人が会社を引き受ける「サーチファンド」で企業を次世代に残す|Icon Capital

中小企業の永続化を目指し、経営者になりたいという意欲と覚悟のある個人が後継者不在の企業を引き受ける「サーチファンド」という手法に、事業会社として取り組まれているIcon Capital株式会社の代表取締役である安田修一郎様にお話を伺いました。

Icon Capital株式会社の事業概要について教えていただけますか?

 事業会社によるサーチファンドというコンセプトで投資事業(自己勘定投資)を行っています。後継者難の企業に対し、経営者になりたいという意欲と覚悟のある個人が会社を引き受け、その挑戦に私たちが出資する新しい取り組みです。プロセスの比較的最初の時点で「誰が社長になるか」が決まっている点が、従来のM&Aとの一番の違いです。

 その他、中小企業の永続化に繋がる仕事として、コンサルティング業も営んでいます。

Icon Capitalという社名の由来をお伺いしたいです。

 アイコニック=象徴という意味からとっています。

私たち自身もですし、お仕事させていただく会社が、その地域やその産業において象徴的な存在となり、発展していけば良いなと考え、社名といたしました。

Icon Capital株式会社の強みや他社との違いについて教えてください。

 事業会社によるサーチファンド型の投資業として資金を調達し、国内で複数の投資実績があるのは、国内初と認識しております(現時点)。

 一般的なファンドとの違いは、エグジットをしないことです。ファンドは3〜7年で株式を売却する前提ですが、弊社は永久保有を原則としており、売却の期限がありません。だからこそ、長期的に新経営者の挑戦を支援できると考えています。

 同時に、30〜40代で経営者になりたいという方からの応募が、現時点で350名を超えているのも他社との違いかと思います。新経営者が退任された時や万一の時にも、弊社が株主として次の経営者を供給し続け、企業の永続化と新経営者の挑戦を支援したいと考えています。

商社やM&A仲介会社でのご経験を経て独立を決意されたきっかけを教えていただけますか?

 月並みなのですが、30歳前後で会社の看板を外して仕事をしてみたいと思いました。色々な素晴らしい会社で働かせていただきましたが、その会社の創業者や仕組みや歴史が凄いのであって、自分が大した人材ではない、という当たり前なことを忘れそうで怖かったです。

日本ではまだ浸透していない「事業会社によるサーチファンド」というモデルを選ばれた理由をお伺いしたいです。

 きっかけは、とあるセミナーで、アメリカで30年以上の歴史がある「サーチファンド」という仕組みを聞いたことです。M&Aアドバイザーの仕事をしている際に、M&Aを通じた中小企業の事業承継は様々な面で難しいことだなと、もどかしく感じている中でして、意欲と能力のある方が社長になるという仕組みは衝撃的でした。それを、ファンド形態でなく、事業会社として成立させています。

事業会社によるサーチファンドを選択することで、オーナーにはどのようなメリットがあるのか教えてください。

 オーナーにとってのメリットは、まず、先に承継者を目利きできることです。顔が見えることは事業承継を真剣に考える方にとって、非常に大きいことだと思います。

 次に、一般的なM&Aと異なり、会社の「経営理念」や「文化」が失われません。大手の傘下に入って様々な権限が本社に移ることも、ファンドのように数年後に転売されることもありません。また、一緒に働いてきた従業員の皆様にも受け入れられやすく、後ろめたい思いはされなくてよい選択肢だと思います。

既にいくつかのサーチファンド型の投資案件を実施されたと伺いましたが、差し支えない範囲で具体的な事例についてお話しいただけますか?

 これまでに3件、投資を実行させていただきました。新しく社長になった方は全員30〜40代です。うち2社は弊社ホームページで開示しております。30代で承継されても、承継2年目で創業以来もっとも良い業績を出されたり、様々な新規事業に取り組まれたりと、意欲のある人の可能性は無限大だと感じています。

事業会社によるサーチファンドの普及に向けて、現在直面している課題や今後取り組みたいことを教えてください。

 課題としては、まず資金が必要な仕事ですので、投資家、金融機関の協力が必要となりまして、この取り組み自体、そして実績をしっかりとご説明していく必要があるかと考えております。

 あとは、経営者を目指す方のマインド面です。日本では、経営者になる道が、スタートアップを創業するか、親族に生まれるかの二つに偏っています。前者は会社を始める時ゼロスタートで大変な苦労をする、後者は生まれた家で決まってしまうという特徴があります。若くて体力のある内に、既にある良い会社を引き受けて経営するという第三の道を選ぶ人が増えればと考えています。

今後の事業展望や目標についてお伺いしたいです。

 今後は、経営者になりたい方が、既にある良い会社を引き受けるという選択肢を作っていきたいです。弊社としては、長期的に100社以上の支援をさせていただき、経営者を供給し続ける状態を目指しています。

 オーナー様にとっても魅力的な選択肢と思いますし、経営を引き受ける方にとっても、給与所得だけでなく、自ら出資した株式を通じて資産所得を得られて、皆が豊かになると考えています。

Icon Capital株式会社で働くことに興味のある方に向けて、職場環境や採用における魅力をお聞かせください。

 私たちはオーナーシップを絶やさないというミッションの下、意欲と能力のある方に中小企業経営に挑戦していただく仕事をしています。タフですが、自分がいなければ、この会社は発展していなかったと、実感できる素晴らしい仕事です。将来的には、ご自身が経営を引き受ける道もあります。

 実際にグループでは、アドバイザリー業、人材業なども複合的に展開しておりまして、人によって兼務等もございますが、こういった新しい取り組みに共感いただける方とお仕事ができればと考えています。

最後に、事業承継を検討している中小企業経営者や従業員の方々へメッセージをお願いいたします。

 素晴らしい会社を後世に残してゆく上では、どの会社に譲るかだけでなく、次の経営者が人生を賭けているかもとても大切だと考えています。同時に、「文化」や「企業理念」を引き継げるかが大きなカギです。弊社は、次の経営者となる方と一緒に貴社を受け継がせていただき、可能な限り永続化させていきます。社長の交代時にも、次の経営者を供給し続けることで、独立性を維持して参ります。こういった理念で活動しておりますので、ご関心がございましたら、是非ご連絡いただけますと幸いです。

安田 修一郎のプロフィール写真
プロフィール

安田 修一郎 Shuichiro Yasuda

Icon Capital株式会社 代表取締役 / CEO

広島県出身。慶応義塾大学卒。米国公認会計士試験全科目合格。新卒で三井物産㈱に入社後、CFO部門にて、リスク管理、連結決算、M&Aなど幅広い業務に従事。その後、上場M&Aアドバイザリー企業に勤務し、クロスボーダー含む複数の中小M&A案件の成約、親族内承継を成約に導く。家業やベンチャー企業勤務経験もあり。24年、Icon Capital設立、代表就任。

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