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廃業届の書き方と提出期限|個人事業をたたむときに出す6つの書類

廃業届の書き方と提出期限|個人事業をたたむときに出す6つの書類

個人事業をやめるときに出す書類は、税務署への廃業届だけではありません。都道府県への申告、青色申告の取りやめ、消費税の届出など、あてはまる人は最大6種類を、それぞれ違う提出先と期限で出す必要があります。この記事では書類の全体像を一覧で整理したうえで、廃業届で迷いやすい欄の書き方と、廃業した年の確定申告で使える節税の仕組みまで解説します。

この記事でわかること

  • 個人事業の廃業で提出する6つの書類と、それぞれの提出先・期限
  • 廃業届のどの欄で迷いやすく、何と書けばよいのか
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をどう終わらせるか
  • 廃業した年の確定申告で使える個人事業税の見込控除
  • 廃業する前に検討しておきたい、事業を引き継ぐという選択肢

廃業届とは?いつまでに出す?

廃業届とは、個人事業をやめたことを税務署に知らせる書類で、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。2026年1月1日以後に廃業した場合、提出期限はその年分の所得税の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までです(所得税法229条)。

以前は「廃業した日から1か月以内」でしたが、税務手続きのデジタル化にあわせて所得税法229条が改正され、確定申告と同じタイミングまで延びました。2025年12月31日以前に廃業した場合は、従来どおり1か月以内が期限です。

開業のときに出したものと同じ用紙で、「届出の区分」を廃業側にして使います。用紙は国税庁のサイトからダウンロードでき、税務署の窓口にも置いてあります。期限が延びたとはいえ、確定申告の直前に慌てないよう、廃業後の早い時期にほかの書類とまとめて出しておくのが安全です。

なぜ廃業届を出さなければならないのか?

廃業届の提出が義務づけられているのは、税務署が「この人はもう事業所得がない」と把握できるようにするためです。届出がないかぎり、記録上は事業が続いていることになります。

出さないままでも罰則はありませんが、確定申告の案内が毎年届き続けます。さらに、青色申告の取りやめを出さなければ帳簿の保存義務が残り、消費税の課税事業者のままなら申告義務も続きます。手続きを飛ばした分は、あとから手間として跳ね返ってくると考えてください。

もうひとつ実務的な理由があります。廃業届は事業の終了を公的に示す記録になるため、屋号の銀行口座を解約するときや、廃業を理由に共済を請求するときに、控えの提出を求められることがあります。

廃業のときに出す書類は全部で何種類?

廃業で提出する可能性がある書類は、次の6つです。全員が6つとも出すわけではなく、青色申告をしていたか、従業員がいたかなど、状況によって決まります。

書類名提出先提出期限出す人
個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)所轄の税務署廃業した年分の確定申告期限まで全員
事業開始(廃止)等申告書都道府県税事務所自治体の定めによる(東京都は10日以内)全員
所得税の青色申告の取りやめ届出書所轄の税務署取りやめる年の翌年3月15日まで青色申告をしていた人
事業廃止届出書(消費税)所轄の税務署速やかに消費税の課税事業者
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書所轄の税務署廃止日から1か月以内従業員に給与を払っていた人
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書所轄の税務署7月1日〜15日(第2期分のみは11月1日〜15日)予定納税がある人

見落としやすいのが2つ目の都道府県税事務所への申告です。税務署に出しただけで終わったつもりになりがちですが、これを出さないと個人事業税の課税が続くおそれがあります。期限は自治体ごとに異なり、東京都では10日以内です。

廃業届はどう書けばよい?

廃業届で迷いやすいのは、次の5か所です。それ以外は住所・氏名など機械的に埋められる欄ばかりで、ここさえ押さえれば10分ほどで書き終わります。

廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)で迷いやすい5つの欄の書き方を示した図。届出の区分は「廃業」に丸を付け事由を簡潔に書く、所得の種類は事業(農業)所得と全部に丸を付ける、開業・廃業等日は実際に事業をやめた日を書く、届出書の提出の有無は青色申告の取りやめ届出書と事業廃止届出書それぞれに有無を記入する、事業の概要は廃業直前まで行っていた事業内容を具体的に書く。

とくに間違えやすいのが「廃業(事由)」の欄です。「自己都合」「後継者不在のため」「法人成りのため」といった簡潔な書き方で問題ありません。

「開業・廃業等日」には、実際に事業活動を終えた日を書きます。売上が立った最後の日ではありません。この日付が個人事業税や消費税の計算区分の基準になるため、記録と食い違わない日を選んでください。

記入に迷ったときは、税務署の窓口で相談できます。事前に相談日を予約できる税務署もあります。

インボイスの登録はどうやって終わらせる?

インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしていた場合、廃業するなら消費税の「事業廃止届出書」を出すだけで足ります。この届出によって、適格請求書発行事業者の登録も効力を失うためです。

混同されやすいのが「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」ですが、これは廃業せずに登録だけをやめたい場合、つまり事業は続けながら免税事業者に戻りたいときに使う書類です。廃業する人が別途出す必要はありません。

廃業届はどこに、どうやって提出する?

提出先は税務署あてと都道府県税事務所あての2系統に分かれます。前掲の表のうち、事業開始(廃止)等申告書だけが都道府県税事務所あてで、残りは所轄の税務署あてです。

提出方法は次の3つから選べます。

  1. e-Taxでオンライン提出する — マイナンバーカードとスマホがあれば、24時間いつでも自宅から提出できます
  2. 税務署の窓口に持参する — その場で疑問を確認できるので、初めての人には確実です
  3. 郵送する — 切手を貼った返信用封筒を同封します

2025年1月から、税務署は提出書類の控えに収受日付印を押さなくなりました。紙で出す場合は自分で控えのコピーを取り、郵送なら特定記録などの送付記録を残しておいてください。返信用封筒を同封すれば、受付日と税務署名を記した案内文が返送されます。e-Taxなら受信通知がそのまま提出の記録になります。

廃業した年の確定申告はどうなる?

廃業した年も、その年の1月1日から廃業日までの所得を、翌年の2月16日から3月15日までに申告します。ただし赤字だった、あるいは所得が少なく納める所得税が生じない場合は、申告義務そのものはありません。それでも、源泉徴収された税金の還付を受けるときや、青色申告で生じた損失を翌年以降に繰り越すときは申告が必要なので、出しておいたほうが得になるケースがほとんどです。そして申告するなら見落とせないのが、次の個人事業税の見込控除です。

廃業した年の税金スケジュールを示した図。廃業した年の1月1日から廃業日までが確定申告の対象期間。廃業届の期限は2026年1月1日以後の廃業ならその年分の確定申告期限まで。翌年2月16日から3月15日の確定申告で、翌年納付する個人事業税の課税見込額を必要経費に前倒し算入できる(所得税基本通達37-7の見込控除)。個人事業税の納付書は翌年に届く。

個人事業税は、廃業した年の所得にも課税されますが、納付書が届くのは翌年です。通常なら納めた年の必要経費になるところ、廃業すると翌年には経費にする先の事業所得がありません。そこで課税見込額を廃業した年の必要経費に前倒しで算入できる扱いが認められています(所得税基本通達37-7)。

見込控除を忘れても、あとから更正の請求で取り戻せます。また、廃業後に売掛金が回収不能になった、事業用資産の処分費用が発生したといった支出も、廃止した年分の必要経費に算入できる特例があります。廃業後に出ていくお金があるなら、申告前に税理士に相談する価値があります

廃業後に受け取れるお金はある?

個人事業主は雇用保険の被保険者ではないため、廃業しても失業保険(基本手当)は受け取れません。従業員を雇っていた場合でも、事業主自身は対象外です。この点は会社を退職する場合と大きく違うので、廃業後の生活設計は自分で組み立てる必要があります。

一方、小規模企業共済に加入していれば、廃業時に共済金を受け取れます。掛金は月1,000円から7万円まで500円単位で選べ、全額が所得控除の対象です。廃業を事由とする受け取りは任意解約より有利なので、加入している人は請求を忘れないでください。

廃業する前に、事業を引き継ぐ選択肢はないか?

書類の準備を始める前に、いちど立ち止まって考えてほしいのが事業を第三者に引き継ぐという道です。廃業では設備の処分費用や原状回復費用が出ていくだけですが、譲渡が成立すれば対価が手元に入ります。

東京商工リサーチの調査によると、2025年に休廃業・解散した企業は6万7,210件で、3年連続の過去最多を更新しました。このうち赤字だった企業は47.2%で、半数以上は黒字のまま事業をたたんでいる計算になります。取引先や顧客との関係、積み上げてきたノウハウは、買い手から見れば価値のある資産です。

近年は小規模な事業でも使えるマッチングサイトが増え、個人事業のまま引き継ぐ譲渡も珍しくありません。判断の材料は事業承継と廃業で迷ったら|選ぶポイントを解説にまとめています。

まとめ

  • 個人事業の廃業で出す書類は最大6つあり、提出先が税務署と都道府県税事務所の2系統に分かれる
  • 廃業届は、2026年1月1日以後の廃業ならその年分の確定申告期限までに所轄の税務署へ提出する(所得税法229条の改正前は1か月以内)
  • 都道府県税事務所への事業開始(廃止)等申告書は見落としやすく、出さないと個人事業税の課税が続くおそれがある
  • インボイス登録者が廃業する場合は、消費税の事業廃止届出書だけでよく、登録の取消届出書は不要である
  • 廃業した年の確定申告では、翌年課税される個人事業税の見込額を必要経費に前倒しで算入できる
  • 廃業しても失業保険は受け取れないが、小規模企業共済に加入していれば共済金を請求できる

よくある質問

廃業届はいつまでに提出すればよいですか?
2026年1月1日以後に廃業した場合は、その年分の所得税の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までです。以前は廃業日から1か月以内でしたが、所得税法229条の改正により確定申告と同じタイミングまで延びました。2025年12月31日以前に廃業した場合は、従来どおり1か月以内が期限です。
廃業届を出さないとどうなりますか?
罰則はありませんが、税務署の記録上は事業を続けていることになるため、確定申告の案内が届き続けます。青色申告の取りやめを出さないと帳簿を保存する義務も残り、消費税の課税事業者のままだと申告義務も続くため、いずれ手間として跳ね返ってきます。
インボイスの登録は別に取り消す必要がありますか?
事業そのものをやめる場合は不要です。消費税の「事業廃止届出書」を提出すると、適格請求書発行事業者の登録も効力を失います。「登録の取消しを求める旨の届出書」は、廃業せずに登録だけをやめたい場合に使う書類です。
廃業した年の確定申告で、税金を減らせる方法はありますか?
個人事業税の見込控除が使えます。廃業した年に課税される個人事業税は翌年に納付しますが、その課税見込額を廃業した年の必要経費に前倒しで算入できます(所得税基本通達37-7)。忘れた場合も、あとから更正の請求ができます。
廃業したら失業保険はもらえますか?
個人事業主は雇用保険の被保険者ではないため、原則として基本手当は受け取れません。一方、小規模企業共済に加入していれば廃業時に共済金を受け取れます。廃業事由による受け取りは、任意解約より有利な取扱いになります。

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